マーチングとは、マーチを演奏しながら行進することです。マーチングバンドとは、吹奏楽活動のひとつの演奏形態として演奏をしながら、その演奏曲の曲想に合った動きを加えたものであり、音楽として耳を楽しませるとともに、観客の目を楽しませ幅広い人々への関心と興味を持たせるための動きと色彩感が盛られ、音楽と動きの調和がとれていることが望まれます。

マーチングバンドは欧米で生まれ、ヨーロッパにおけるマーチングスタイルは古くからパレード中心でした。フィールド内でのマーチングも隊形変換（Ｕターン・簡単な方向変換等）が主体でスタンダード・マーチが主として演奏されていました。演出効果やフォーメーション等のショー的要素はあまり取り入れていませんが、行進と演奏とに秀でた数多くのバンドが存在し、簡単に真似することのできない風格と長い伝統を感じさせています。最近ではショー的要素を取り入れるバンドもありますが、やはりユニフォーム・楽器編成・フォーメーション等、昔からの伝統にのっとたマーチングが主体です。

アメリカでは約９０年前からマーチングがフィールド内で行われるようになりましたが、当初は行進を中心とした簡単な形態でした。演奏曲目もマーチや各学校の応援歌が主体でした。そうした活動の中から多くの優秀なバンドや指導者が生み出され、それにつれてマーチングも急速に発展し、現在見られるようなマーチングスタイルの基盤が築きあげられました。近頃では演奏曲も幅広く、ジャズからクラシックまでのさまざまな曲目を巧みにアレンジし演奏され、楽器編成もマーチングに相応しいものが考えられました。また、ショー的効果をより以上盛り上げるために、バトントワラー・カラーガーズ（シルクス）・ライフルチーム等バンドフロントのチームも編成され、ユニフォーム・フォーメーション・ステップ等についても新しいものが続々と考案されています。こうした中から幅広いマーチングスタイルが生み出され活発な活動が続けられています。

日本に於いてもマーチング活動が始まって、既に６０年に及ぼうとしています。当初はパレードが中心でしたが、多くの指導者の努力と全日本連盟の主催による全国大会（フェスティバル・高等学校コンテスト）が我が国のマーチング界の急速なレベルアップをし、現在のマーチングスタイルが確立されてきました。主としてアメリカ的色彩が強いものであり、ショー的要素もそのスタイルの中に数多く取り入れられております。マーチングバンドはそれぞれの特色をもっており、楽器の編成から主として次のように分類されています。

また、マーチングのスタイルには、ショー的要素の多い、カレッジ・スタイルとドリル的な動きが主体となる、コー・スタイルがあり、最近ではこの二つの形が混合されたものが、我が国では多くなり、日本独自のものを作りつつあります。マーチングバンドの演奏形式は、演奏演技をする場所によって主に次の四つに分けられています。

以上の四つが今日、我が国で行われている形式です。本連盟で開催するフェスティバルのマーチングはこのフロア・ショーに当る訳でこの形式は、我が国のバンドの編成規模から生まれたもので、我が国独特のものといえるものです。

マーチングは、単にパレードをしたり、ドリル・フォーメーションを展開したりすることにつきるものではない。そうした華やかな形に現れる要素ばかりではなく、その表面的なものの裏にある大事な要素を見落とすことはできません。マーチングでは、ひとつの規律のもとに自分に与えられたことを、確実に果たさなければならない。誰ひとりとしてギミック（ごまかし）ができず、ひとつの集団としての決まりを守る中で責任感が養われる。そして大切なのは、結果としての形に現われたものではなく、そこに至る練習の過程・指導の方法なのです。その過程を大事にし生きた音楽がなければ、マーチングは長続きしないでしょう。まして、スクールバンドの多い現在の我が国では、教育的意義も薄いものとなってしまうことでしょう。

数多くのバンドが厳しい練習を積み重ね、苦しかった時、楽しかった時と多くの思いが演技の裏には隠されている事でしょう。演奏・演技の出来不出来には関係はなく、一つの事に集中できるという事は大変に素晴しい事であり、また、演技者にとってご観覧の皆様の暖かいご声援が何よりも増して良い思い出になり、励ましにもなると思います。

これからもこの青少年の活動を暖かい目でご支援下さる様、お願い致します。